2021年9月28日 国立感染症研究所 感染症週報 注目すべき感染症として『【ダニ媒介感染症】つつが虫病、日本紅斑熱』が報告されています。
ダニが媒介する感染症は、病原体を保有するダニに刺されることで感染します。つつが虫病と日本紅斑熱は、リケッチアと呼ばれる病原体を保有するダニの刺咬による感染症です。感染症法の4類感染症で診断した医師は全数届け出が必要な感染症です。
つつが虫病
つつが虫病を媒介するのはダニの一種であるツツガムシです。ツツガムシは卵から孵化した後の幼虫期に一度だけ哺乳動物に吸着し体液を吸います。ツツガムシの0.1%~3%程度がリケッチアをもつ有毒ツツガムシで、この有毒ツツガムシに吸着されると感染します。発生地域の草むらなどで吸着されるとことで感染します。感染から5〜14日間の潜伏期間の後、高熱を伴って発症、皮膚には特徴的な刺し口がみられます。数日後には体感を中心に発疹が見られるようになり、また倦怠感や頭痛を訴えるケースも多いです。治療が遅れると死に至るケースもあります。
日本紅斑熱
日本紅斑熱を媒介するのはマダニの数種類だと考えられています。その中でも、すべてがリケッチアをもつわけではなく、リケッチアをもつマダニに刺咬されたときだけ感染します。感染から2〜8日の潜伏期間を経て、頭痛、発熱、倦怠感などを伴って発症します。つつが虫病では体幹を中心に発疹がみられるのに対し、日本紅斑熱では比較的、四肢の末端部に強く発疹がみられます。刺し口は、痂疲部分がつつが虫病より小さく確認される頻度がやや低いです。やはり治療が遅れると死に至るケースがあります。
つつが虫病と日本紅斑熱は、ともに現在でも多くの感染が報告されており、有効な治療薬があるにもかかわらず、死亡例が報告されています。新型コロナウイルスの流行が始まった2020年以降、インフルエンザなど感染者数が大きく減少している感染症がある中においても、症例報告数は減少していません。つつが虫病と日本紅斑熱に対するワクチンはないので、最も有効な予防策はダニに刺されることを防ぐことです。
例年秋に両感染症の報告数が増加する傾向があります。屋外活動をする際は、発生地の情報を調べ発生地域に立ち入らないこと、また、作業などでどうしても避けられないケースでは、皮膚の露出を少なくしダニ忌避剤を使用して作業後は入浴して洗い流すなどの注意が必要です。
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